読書感想:ユウキロック「芸人迷子」(元ハリガネロック)
序章:この本を読んだ経緯
私は大阪生まれ大阪育ち。
漫才が好きで好きでたまらなかった私も、大人になるとすっかり漫才番組があっても観なくなり、年末のM-1だけを唯一チェックするくらいになりました。
大人目線で感じるのは、芸人で活躍する事っていうのは、本当に難しい事なんだろうなーということ。
次から次へと、テレビや観客は「新しい芸」を求めるので、一発当てたところで消えていく芸人がほとんど。いや、ほとんどの芸人は、一発当てることすらなく消えていくのが現実でしょう。
そんななか、一組の「名の知れた漫才コンビ」が解散したというニュースが2014年にありました。
「ハリガネロック」です。
M-1の第一回大会に中川家に敗れて第二位になったコンビ。
私は、大ファンというわけではありませんが、漫才をみたら面白いよな~と好感を持ってみていました。
最近テレビでも全く観ないな・・・と思っていたら、突然に解散したというニュース。
なぜ、結成して20年の実力派の漫才コンビが、解散にいたったのか?
ユウキロックさんが「芸人迷子」という著書で赤裸々に考えを語っているとの事を知り、興味を持って読んでみました。
元ハリガネロック 「芸人迷子」の感想
1人の芸人の立場で、自分の芸とは何か?売れるためにはどうしたらいいか?と必死に考えて、悩み、もがき苦しんでいる姿。
芸人がテレビでは決して見せない「裏」の素の部分が垣間見れるのは、面白いです。
私が驚いたのは、M-1やThe MANZAI などの賞レースの色に合わせてネタ作りをされていた事。
ここまで考えて漫才をしているのか~という戦略家ぶりに素直に関心しました。
一方、普通に観客としての目線で(上から目線にはなりますが)、「ハリガネロック」が、なぜ爆発的に売れる事が出来なかったのも、なんとなくわかったような気になりました。
それは、ご自身でも書かれている部分もありますが、「お客さんの求めるモノ」に合わせる事が出来なかった事。
この本を読むと感じるのは、ユウキロック(松口さん)自身が、とっても昔気質で堅意地を張るタイプの芸人なので、「求められるモノ」よりも、「自分のやりたい事」を優先したんだろうな・・と思いました。
そして、(見た目に似合わず(失礼w)、とても神経質で繊細な感性の持ち主だということ。
神経質が故に、「M-1には3回以降出ない・・」とか、著書を読むと本人なりの理由が書いてありますが、普通に考えて 第3回、第4回のM-1に出なかったというのは、自分からチャンスを逃しているだけな気がしました。
ちょっと繊細で内向的・・だからか、打たれ弱くて独りよがりになってしまう。
その弱みを相方なり、先輩達などに打ち明けて、正しい方向に向ければ良かったのですが、性格もあるのかどんどん自分を追い詰めて、迷走して孤立・孤独を感じてしまったんだろうな・・と思いました。
本中で相方の「おおうえくにひろ(大上邦博)さん」の事を、あまり良く書かれていません。
彼には変わってほしいと何年も思っていた。と心の中で相方に期待しているのですが、彼は何も行動しない。と相方に勝手に期待して、裏切られて、そして諦めたりしています。
うーん、これなんかは、おおうえさんの事は知らないので、正しくないのかもしれませんが、ユウキロックさん自身がコミュニケーション障害も原因なんでは?と疑ってしまいます。
そしてコンビ解散後の話。
演芸インストラクター?(お笑いの講師)として、後輩の指導に当たるそうです。これはご自身、やっていきたい仕事だそうです。
これには本当に納得しました。ネタを書けて、戦略家。繊細な感性。
おそらく自分の事だから客観的になれなくて「お客さんに求められている芸」とずれてしまった部分もあるでしょう。
でも、後輩のように人を指導すれば、客観的に分析出来るためヨミは鋭く頼りになると思います。
そして、本当はご自身に必要だった・・・迷える芸人達を、裏方で支えるような人になられるんだな・・と私は思いました。
本を読み終えて、色々ありましたがお疲れ様です。と心より思いました。
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